自由気ままな旅に出ています


by pepo629
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雨上がりの空に

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空が晴れてきた。

気持ちいい風が窓から入ってくる。

毎日猫に逢いに公園に散歩するのが日課になっていた。

僕の日常・・・。平穏で平和でそして静かな毎日。

空の青さ。日差しが眩しくて思わず目を細める。

こんなに青かったっけ・・・。

雨の後の空気を深呼吸で吸い込んだ。

仕事を辞めるべきか続けるべきか迷っていた僕は風に凪びく風船だった。

どっちつかずの中途半端であることが嫌で仕方ない自分。

(どうしようもないなぁ)呆れ顔の自分。




突如現れた猫が前を通りすぎ、僕はいつものようにしゃがんで猫を呼んだ。

猫は僕の足下にすり寄って・・そしてニャァーンと甘えたような声を出す。

毛並みをそろえるように身体をなでてやると更に甘えた声を出した。

ふと背後から近づく人の気配を感じ、振り向くと1人の女性が立っていた。

黄緑色のワンピースに白い帽子をかぶっている。

「こんにちわ」彼女は会釈した。

「どうも、こんにちわ。天気良いですね」ありふれた返事しかできない。

「いつも・・・いつも貴方が可愛がってくださってるのね。」

足下の猫は彼女のもとに駆け寄っていった。

この瞬間を簡単に忘れることは出来ない。

空白だった。何かを話したのかもしれないけれど、なんと言ったのか全く意識がない。

「健をこれからもよろしくね」「・・・・」「あ、あの?私変なこと言いました?」

ようやく我に返った僕は大きく手を振って「いえいえ!綺麗な方と出会えて嬉しかったもので。

思わず声が出なかったんですよ」と言った。

彼女は白い歯を見せて笑いながらこういった。

「嫌なことも素敵なことも雨上がりの空の下で起こるのね。」

僕の心の奥で恋の花火に火が点いた。
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by pepo629 | 2004-12-13 15:05 | Short Story