自由気ままな旅に出ています


by pepo629
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にわか雨の予報士



 「涼(りょう)くん?」
姉貴の呼び出しで忘れ物を持って行った先で女性に声を掛けられた。
オペラ歌手を目指して音楽学科オペラ専攻している姉、涼子。
おっちょこちょいでお節介。そして卒業間近だというのに失恋の痛手に夜中よく泣いている。1月のお正月には、にこにこ笑って出かけていったのに、次の月のバレンタインディには泣いていた。

季節は5月。爽やかな風が気持ちいい季節だ。湿度を感じずに済む季節が一番好きだ。
授業の少ない月曜日、寝坊して起きた直後、携帯が鳴った。
毎朝必ずラジオで天気予報を確認するのだが、ラジオのスイッチを入れるより前に
姉貴の声で目が覚めた。

「あ、涼?悪いんだけど忘れ物しちゃてさー」

悪気なんて全くないから困りものである。
それどころか舌をだしておっちょこちょいのお姉ちゃんを許してね!と
笑うのだ。

苦笑しながら、自分の学校が終わった後、言われた約束の時間に学校まで出かけていった。
そしたら当の本人は何処へやら、別の女性に声を掛けられてる僕である。

「貴女は・・・?」
「ごめんね、涼子の友達で冬美と言います。ほら、有名な演歌歌手と同じ名前なの。」
演歌の冬美さんですか・・・。声にはしなかったけど、演歌歌手とは全く逆の外見に僕はたじろいだ。
エルメスのスカーフにローラアシュレーの大きな花柄のプリントされたロングスカートと白いブラウスを身につけていた。

苦手なタイプだった。でも話をしないわけにはいかない。

にわか雨の予報士 2
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by pepo629 | 2005-06-23 10:21 | Short Story