自由気ままな旅に出ています


by pepo629
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Akira & エリカ 7


自分の生まれを繙いている内に、ふと一つの疑問が頭に浮かんだ。
 それはAKIRAの頭を混乱させることになった。でも深く考えないようにした。
自分が間違いなく存在するし、そして今日本にいて、高校生で、なおかつ今日は一日バスケットの試合がある。試合以外のことは考えられないはずだ。
だからAKIRAは試合のことだけを考えることにした。

周囲の雑音とカメラのフラッシュはAKIRAの眼中にはなかった。
耳にはヘッドフォン。穏やかなボッチェリ(オペラ歌手)の曲が流れている。
学校までは歩いて15分。通学途中には土手があって、そこをいつもジョギングする。
集合時間まで20分ある。ジョギングをすれば10分くらいで着くだろう。AKIRAはなんの前触れもなく走り出した。近所の人が、通勤・通学そして通行人が、好奇心の目で奇妙な団体を見つめる。金魚の糞がくっついて来るみたいなそういう状態をじっと見ている。カメラマンも芸能雑誌のレポータも一緒に付いてくるけれど気にしない。

計算通り10分足らずで学校に着いた。学校の前にバスが来ていて、そこから試合会場まで30分。既に5人の部員が眠そうな目をこすりつつ、試合に向けての気合いを込めて、ストレッチをバスの前で行っていた。
付いてきていたマスコミ関係の人間の多さに最初は戸惑った顔を見せ、そして苦笑していた彼らだが、テレビカメラを前にピースサインを見せるなんてことはせず、ただ一言
「バスに乗ろう」と言ってくれた。

集中力を高めることが必要だ。試合に勝たねばならないという気迫を感じた。
奴らに勝つために。
エリカのために。
そしてAKIRA自身のために。
日本にいる祖母を見つけるために・・・・。
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by pepo629 | 2005-08-06 16:56 | Short Story