自由気ままな旅に出ています


by pepo629
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カテゴリ:Short Story( 42 )

にわか雨の予報士 12


「ちょっと席、外すね」
新鮮な空気を吸いたくなった。部屋の広さに対して人数も多いし、そして何より話題が濃くて重すぎる。昼間から話すような内容ではない。

「涼、父さんも外に出るよ。ここはあまりにも苦しすぎる」ようやく口を開いた父の言葉。
「支払いすませるからその辺で待ってて」頷いて立ち上がった僕に横にいた海ちゃんが手を握った。薄いピンク色のマニキュアの塗られた細い指。
温かい温度が伝わってきた。
言葉はしばらく出てこなかったが、海ちゃんはためらうようにこう呟いた。
「一段落したらゆっくり話すから」

僕は優しく母の指一本一本を握り返した。

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by pepo629 | 2005-09-29 15:32 | Short Story
今日のカバ君は怒った!(苦笑)
ちょっとした彼の勘違いで値段が違う印紙を購入したAさんに
差額のお金を机に出し、さっさと出ていって正しい値段の印紙を買いに行こうとした。
冷静なAさんはカバ君を追いかけ、新しく別の印紙に変えてもらいに行きました。

しかし取り残された周りはみんな驚いて、どう対処すればいいか分からないまま呆然としてしまいました、一瞬。


無口な人って何をするか分からないよね、(苦笑)
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by pepo629 | 2005-09-22 16:03 | Short Story

にわか雨の予報士 11



海ちゃんは魅力的な女性だ。息子である自分でさえ母の美しさにドキドキすることがある。
1人の女性として、そして働く女性として。
常にテレビという媒体を通して母を第三者の目から見てると、母なのに母じゃないという錯覚まで生まれてくるから不思議だ。
恋人が出来たらそんなことを考えなくなるだろうって思ったけど、母の存在は僕の中でとても大きかった。

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by pepo629 | 2005-09-16 22:53 | Short Story
やっぱり別の人が来るときが付く。
彼はやっぱり変だ(笑)。今日はカバ君はお休み。


彼が置かれている立場は普段からどっしり構えておればいいのに、ちょこまかちょこまか・・・動く(苦笑)
でも口は動かない。喋らない。
先週1週間本当にどうしようかと思った。一人職員がいなかったため二人きりだったため。

食事も別、英語を話す人が来ても彼が対応、どんなに忙しくても彼が立ち上がる。
隣で構えて待っていても徒労に終わる。

意見があったら言って欲しいと私には言いながら、彼は何一つ言わずに黙々と仕事をこなす。
手伝うことが出来るところもあるので、手伝いましょうかといっても無視をされる(苦笑)

まぁ、気にしないけどね。
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by pepo629 | 2005-09-01 14:07 | Short Story

にわか雨の予報士 10



いつもの車道を走るより今日はずっと風が強い気がする。革ジャンを着ていても冷たい風が隙間から入ってくる。
ヘルメット越しに見える看板。美味しいと評判のレストランは少し山手にある。数日前インターネットで既にチェック済みだからと僕を驚かせたが、こんな父の細やかな配慮は海ちゃんのお済み付きだ。

父が予約していた和食処。窓際によると、木の隙間から天橋立が見える。個室に通され、順番に出てくる食事は本当に普段家では食べることが出来ないようなプロの味を感じた。
お吸い物に始まり、刺身から天ぷら、お昼から食べすぎだよ~なんて言いながら父から結婚秘話を聞きだした。


25歳の新米だった父の研究所に母が取材でやってきたのが初対面。
当時から筋肉質で体がごつい親父がガラス越しに海ちゃんたち一行を出迎えた。
当時彼女は売れっ子のテレビキャスター兼リポーター。28歳。都会の風を切って明るくやってきた美貌に田舎ものの父は呆然としたという。
その後、数回に渡って取材は続いたが、二人きりになって個人的な話をするような時間はもちろんない。お互い、そのまま自然消滅するように見えた。
海ちゃん曰く、父への第一印象は身なりの汚い人としか写らなかったという。

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by pepo629 | 2005-08-21 22:40 | Short Story

にわか雨の予報士 9


「お腹が減らないか?」父に言われて自分のお腹が食べ物を欲していることに気が付いた。
「そうだね。美味しいご飯を食べよう」バイクに再び乗った。
お腹がすいて食べたいと思うことは大事なことだと思う。
痩せて今までの魅力を失った萌の姿を思い出す。
「食べられないって自分の身に起きないと分からない。食べたいって思っても体が拒否するんだもん。」

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by pepo629 | 2005-08-18 22:22 | Short Story

にわか雨の予報士 8

よく晴れた週末に父が僕をツーリングに誘った。
先週金曜日、冬美に聞いた話は1週間経ってもまだ消化不良のままだったが、相談するにはちょうど良い時間が開いた。試験週間の山場も過ぎた。今までもやもやしていた気持ちを一気に解消するにはちょうど良い。

冬美の話はそれほど深刻には見えなかった。でも、萌からの話を聞いていたせいか、なんだか気になって仕方なかった。「幸せを求めて藁にもすがるっていうじゃない?」冬美の一言が、残念そうに萌が呟いた「親友の私にさえ相談してくれなかったんだよ!」という言葉とリンクする。歯を食いしばって悔しさを表現しても、七菜の気持ちを僕が理解できるわけではない。もしかすると本人でさえ分かっていないかもしれないからだ。

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by pepo629 | 2005-08-09 10:11 | Short Story

Akira & エリカ 7


自分の生まれを繙いている内に、ふと一つの疑問が頭に浮かんだ。
 それはAKIRAの頭を混乱させることになった。でも深く考えないようにした。
自分が間違いなく存在するし、そして今日本にいて、高校生で、なおかつ今日は一日バスケットの試合がある。試合以外のことは考えられないはずだ。
だからAKIRAは試合のことだけを考えることにした。

周囲の雑音とカメラのフラッシュはAKIRAの眼中にはなかった。
耳にはヘッドフォン。穏やかなボッチェリ(オペラ歌手)の曲が流れている。
学校までは歩いて15分。通学途中には土手があって、そこをいつもジョギングする。
集合時間まで20分ある。ジョギングをすれば10分くらいで着くだろう。AKIRAはなんの前触れもなく走り出した。近所の人が、通勤・通学そして通行人が、好奇心の目で奇妙な団体を見つめる。金魚の糞がくっついて来るみたいなそういう状態をじっと見ている。カメラマンも芸能雑誌のレポータも一緒に付いてくるけれど気にしない。

計算通り10分足らずで学校に着いた。学校の前にバスが来ていて、そこから試合会場まで30分。既に5人の部員が眠そうな目をこすりつつ、試合に向けての気合いを込めて、ストレッチをバスの前で行っていた。
付いてきていたマスコミ関係の人間の多さに最初は戸惑った顔を見せ、そして苦笑していた彼らだが、テレビカメラを前にピースサインを見せるなんてことはせず、ただ一言
「バスに乗ろう」と言ってくれた。

集中力を高めることが必要だ。試合に勝たねばならないという気迫を感じた。
奴らに勝つために。
エリカのために。
そしてAKIRA自身のために。
日本にいる祖母を見つけるために・・・・。
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by pepo629 | 2005-08-06 16:56 | Short Story

カバ君の一日(笑 12



ついにシリーズ12回目の今日は、
ちょっと怒りモードの私がカバ君のあまりの機械的な言動にイライラ。

お客様からの連絡で調べて欲しいのですが?と来たのにコンピュータで調べもしないで
「まだ終わっておりません」と一言。

おいおい、なんでそうなんだ?
夏なのに真っ黒の上下でいつも登場。普段は制服があるんだけどさ・・・。

水遊びするんだろうか?(爆)
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by pepo629 | 2005-08-02 10:24 | Short Story

にわか雨の予報士 7


新しいことを始めるにはきっかけと区切りが必要だ。
僕ら姉弟と両親が住んでいるところは神戸市。海が遠くに見える山の手の高台に家がある。しょっちゅうバイクを走らせて一人で海へ行く。気分転換にはお金もかからずに気楽な方法だからだ。

別れ話を切り出した僕の頭は完全に混乱していた。これで良かったんだろうか、やっぱりやめた方が良かったんだろうかなんてことも考えた。

けれど、すっきりとしたかった。
重苦しい空気に包まれるのはもうゴメンだった。

目の前にある海はなんの答えも出してはくれない。自分で出さなければならないことは分かっている。

授業にでて、規則正しい生活を送り、そしてバイクに乗って気分転換をして2週間が過ぎた。携帯番号は変えていないが、その後も七菜からの連絡はこない。そろそろ新規の携帯が発売されるみたいだし、思い切って連絡先も変えようかなと思い始めている。

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by pepo629 | 2005-07-19 11:41 | Short Story