ロンドンテロ 2 状況は?
2005年 07月 08日
金融街の朝騒然、地下鉄から血まみれの乗客次々
地下鉄の駅構内に爆発音が響いた直後、名物の2階建てバスの天井が吹き飛び、公共交通機関は全面的にストップした。
7日午前9時(日本時間同日午後5時)ごろ、サミット開催中の英国の首都ロンドンを襲った同時爆破テロ。「地下鉄の窓が粉々になって、悲鳴と煙が充満した」「手首のない人や、両目から血を流している人もいた」――。2012年の五輪開催決定に沸いたばかりの街は、わずか一夜を経て恐怖と混乱に包まれた。
追悼の意を込めて・・・
◇
【ロンドン=土生修一】「まるで9・11だった」。バスの爆発に遭遇したロンドン出張中の木村耕太さん(27)が、衝撃を生々しく語った。
木村さんは、ラッセルスクエア駅近くにある24時間営業のコンビニエンスストアに買い物に出かけたが、店は閉まっており、駅には非常線が張られていた。
現場から離れようとした時、大きな爆発音が背後で響いた。振り向くと、200メートル先で、2階建てバスの屋根が吹き飛んでいた。周囲には焦げ臭い煙が漂い、どこに逃げていいのかわからない人たちが、叫び声を上げて四方に走り出していた。泣いている人もいた。
「バスが爆発したのを見た瞬間、これはテロだと気付いた。まるで9・11のような状態だった」と木村さんは声を震わせた。
ラッセル広場近くのホテルのフロントで働いているイオネ・オジャンさんが巨大な爆発音に驚いて道路に飛び出すと、バスの天井が吹き飛び、乗客らしき人たちが血だらけで次々と道路に出てきた。男性の一人は、右手首から先がなくなっており、別の乗客は、両目から血を流していた。
◆地下鉄乗客「車両がぐちゃぐちゃになっていた」◆
当地の報道によると、地下鉄オルドゲート駅付近でも、すすと血にまみれ、衣服がぼろぼろになった人たちが、雪崩を打って駅の外へ駆け出してきた。
車両のドアから何とか抜け出したという男性(51)は、「大きな衝撃があり、煙がすごかった。感覚が完全にマヒした感じ」。別の乗客(26)は「突然、耳をつんざくようなごう音がして、窓が粉々になった。車両は煙が充満し、叫び声が響いた。息もできず、何が起きているのか分からなかった。反対側の車両がぐちゃぐちゃになっていた」と語った。
◇
現場近くで働く邦人たちも、読売新聞の電話取材に、大きなショックを隠さなかった。
「大きなドラム缶が破裂したような『ゴーン』という音を聞いた」という国際交流基金事務所スタッフ、白川万里子さん(33)によると、同事務所では爆発後、全員に外出を禁じたという。テレビのニュースは繰り返し「(テロリストからの銃撃を警戒して)ガラス窓に近づかないように」と呼び掛けており、白川さんは、「現場には血を流して座り込んでいる人や、遺体を搬出する人もいたようだ。まさかロンドンがテロの標的になるとは思っていなかった。どうしていいのか分からない」と不安そうな様子だった。
爆発の直前、地下鉄エッジウェアロード駅を利用したという建設会社「鹿島ヨーロッパ」の矢島晃さん(42)も、「びっくりした。少し時間がずれていたら巻き込まれていた」と声をうわずらせた。
JTBロンドン支店は邦人観光客の安否確認に追われた。座間久徳支店長(48)は「添乗員と連絡を取ろうとしているが、携帯電話が全くつながらない」と焦燥感を募らせた。支店は市中心部から6キロ離れた郊外にあるにもかかわらず、サイレンの音が響く物々しい雰囲気で、「きのうまでは五輪開催決定で祝賀ムード一色だったのに。まさかテロなんて」と言葉を失っていた。
リバプールストリート駅から車で20分ほど離れたソーホー地区も混乱し、同地区の日本料理店店員高瀬舞さん(33)によると、いつもなら40分の通勤に約2時間かかり、近くの通りは、地下鉄にもバスにも乗れず、途方に暮れる人であふれたという。
◇
【ロンドン=千葉直樹】国営医療制度を管理するナショナル・ヘルスサービスによると、7日午後1時45分(日本時間同9時45分)現在、ロンドン市内6か所の主要病院には少なくとも計208人の負傷者が運び込まれている。
うち26人が入院中で13人が手術を受け、3人が重傷で集中治療室に入っているという。担当者は「市外からも医師の応援を得て治療にあたっている。心理的なダメージを受けた人のケアも検討しなければならない」と話した。
最も規模の大きな王立ロンドン病院は、ひっきりなしに到着する救急車のサイレンの音で、緊迫した雰囲気に包まれた
地下鉄の駅構内に爆発音が響いた直後、名物の2階建てバスの天井が吹き飛び、公共交通機関は全面的にストップした。
7日午前9時(日本時間同日午後5時)ごろ、サミット開催中の英国の首都ロンドンを襲った同時爆破テロ。「地下鉄の窓が粉々になって、悲鳴と煙が充満した」「手首のない人や、両目から血を流している人もいた」――。2012年の五輪開催決定に沸いたばかりの街は、わずか一夜を経て恐怖と混乱に包まれた。
追悼の意を込めて・・・
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【ロンドン=土生修一】「まるで9・11だった」。バスの爆発に遭遇したロンドン出張中の木村耕太さん(27)が、衝撃を生々しく語った。
木村さんは、ラッセルスクエア駅近くにある24時間営業のコンビニエンスストアに買い物に出かけたが、店は閉まっており、駅には非常線が張られていた。
現場から離れようとした時、大きな爆発音が背後で響いた。振り向くと、200メートル先で、2階建てバスの屋根が吹き飛んでいた。周囲には焦げ臭い煙が漂い、どこに逃げていいのかわからない人たちが、叫び声を上げて四方に走り出していた。泣いている人もいた。
「バスが爆発したのを見た瞬間、これはテロだと気付いた。まるで9・11のような状態だった」と木村さんは声を震わせた。
ラッセル広場近くのホテルのフロントで働いているイオネ・オジャンさんが巨大な爆発音に驚いて道路に飛び出すと、バスの天井が吹き飛び、乗客らしき人たちが血だらけで次々と道路に出てきた。男性の一人は、右手首から先がなくなっており、別の乗客は、両目から血を流していた。
◆地下鉄乗客「車両がぐちゃぐちゃになっていた」◆
当地の報道によると、地下鉄オルドゲート駅付近でも、すすと血にまみれ、衣服がぼろぼろになった人たちが、雪崩を打って駅の外へ駆け出してきた。
車両のドアから何とか抜け出したという男性(51)は、「大きな衝撃があり、煙がすごかった。感覚が完全にマヒした感じ」。別の乗客(26)は「突然、耳をつんざくようなごう音がして、窓が粉々になった。車両は煙が充満し、叫び声が響いた。息もできず、何が起きているのか分からなかった。反対側の車両がぐちゃぐちゃになっていた」と語った。
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現場近くで働く邦人たちも、読売新聞の電話取材に、大きなショックを隠さなかった。
「大きなドラム缶が破裂したような『ゴーン』という音を聞いた」という国際交流基金事務所スタッフ、白川万里子さん(33)によると、同事務所では爆発後、全員に外出を禁じたという。テレビのニュースは繰り返し「(テロリストからの銃撃を警戒して)ガラス窓に近づかないように」と呼び掛けており、白川さんは、「現場には血を流して座り込んでいる人や、遺体を搬出する人もいたようだ。まさかロンドンがテロの標的になるとは思っていなかった。どうしていいのか分からない」と不安そうな様子だった。
爆発の直前、地下鉄エッジウェアロード駅を利用したという建設会社「鹿島ヨーロッパ」の矢島晃さん(42)も、「びっくりした。少し時間がずれていたら巻き込まれていた」と声をうわずらせた。
JTBロンドン支店は邦人観光客の安否確認に追われた。座間久徳支店長(48)は「添乗員と連絡を取ろうとしているが、携帯電話が全くつながらない」と焦燥感を募らせた。支店は市中心部から6キロ離れた郊外にあるにもかかわらず、サイレンの音が響く物々しい雰囲気で、「きのうまでは五輪開催決定で祝賀ムード一色だったのに。まさかテロなんて」と言葉を失っていた。
リバプールストリート駅から車で20分ほど離れたソーホー地区も混乱し、同地区の日本料理店店員高瀬舞さん(33)によると、いつもなら40分の通勤に約2時間かかり、近くの通りは、地下鉄にもバスにも乗れず、途方に暮れる人であふれたという。
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【ロンドン=千葉直樹】国営医療制度を管理するナショナル・ヘルスサービスによると、7日午後1時45分(日本時間同9時45分)現在、ロンドン市内6か所の主要病院には少なくとも計208人の負傷者が運び込まれている。
うち26人が入院中で13人が手術を受け、3人が重傷で集中治療室に入っているという。担当者は「市外からも医師の応援を得て治療にあたっている。心理的なダメージを受けた人のケアも検討しなければならない」と話した。
最も規模の大きな王立ロンドン病院は、ひっきりなしに到着する救急車のサイレンの音で、緊迫した雰囲気に包まれた
by pepo629
| 2005-07-08 13:24
| News